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壁紙のヤニ落としの方法とは?原状回復させる掃除のコツ

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壁紙のヤニ落としの方法とは?原状回復させる掃除のコツ

喫煙者が入居している部屋で大きな問題になるのが、壁紙に付着するヤニ汚れです。付着してすぐなら軽く拭き取ると多少は落とせますが、長年放置してきたヤニ汚れは、壁にこびりついてなかなか落とせません。
賃貸物件の場合は、次の入居者のために原状回復を行います。喫煙可の物件であったとしても、汚れやニオイがひどいと壁紙を全面的に張り替える必要があります。
今回は、原状回復させるための壁掃除の手順やコツ、掃除をする際の注意点など、壁紙のヤニ落としの方法についてご紹介します。

【目次】
1. タバコで壁が汚れる原因
2. ヤニ落としに用意するもの
3. ヤニを落とす壁掃除の手順
4. ヤニ落としをするときの注意点
5. 壁紙が汚れる前にこまめな掃除を

タバコで壁が汚れる原因

なぜタバコを吸うと、壁紙は黄色く汚れてしまうのでしょうか。喫煙による黄ばみの原因について解説します。

●喫煙による黄ばみ
タバコには、有害物質「タール」が含まれています。タールはねっとりとした植物性樹脂で、これが「ヤニ」と呼ばれるものです。喫煙者の歯が黄色く変色しているのも、タールが付着して固まっているためです。喫煙によってタールが歯や喉、肺にこびりつくだけでなく、タバコの煙によって室内に運ばれ、壁紙に少しずつ蓄積することで黄ばみの原因となります。

●タールの特徴
タールは黒から茶褐色の液体で、タバコが燃焼するときに大量に発生します。強い油性で粘着性を持ち、壁紙に付着すると簡単には落とせません。さらに、タールには独特のニオイがあり、ヤニと一緒に染みついたタバコのニオイは、消臭剤や消臭スプレーでは消すことができず、部屋全体がタバコ臭くなります。

基本的に、一度壁についてしまったタバコのヤニ汚れやニオイは、完全に落とすことができません。賃貸物件の場合、原状回復の費用は借り主の負担となりますが、ヤニ汚れがひどいと敷金でまかなえないため、借り主に費用請求するケースもあります。

ヤニ落としに用意するもの

ヤニは、クロス表面の凹凸に入り込むため、雑巾で水拭きするだけでは落とせません。まずは、ヤニを落としやすい用具や洗剤を用意しましょう。

●ヤニ落としに使う用具
ヤニを落とすためにそろえておくと便利な用具は、水拭き用と乾拭き用の雑巾2枚、スポンジやブラシ、霧吹きです。スポンジやブラシは、台所用のスポンジやメラミンスポンジ、柔らかいナイロンブラシなどで構いません。壁紙の凹凸や細かい部分の汚れには、歯ブラシがあると便利です。
手が荒れやすい人や掃除をするときの汚れが気になる人はゴム手袋も用意すると良いでしょう。

●ヤニ落としに効果的な洗剤
油性の強いタールには、アルカリ性の洗剤が効果的です。専門的な洗剤を購入しなくても、自宅にある洗剤でも落とすことができます。

<重曹>
重曹はアルカリ性の性質を持つため、タールを含んだ粘着性のあるヤニ汚れを分解して落としやすくしてくれます。洗剤の作り方は、45度くらいのお湯2カップに重曹1カップをよく溶かすだけです。高濃度の重曹水を作ったら、重曹水を霧吹きに入れて、ヤニが付着している壁紙に吹きかけます。
重曹には消臭効果があるため、ヤニ汚れと一緒にタバコのニオイも落とすことができます。

<セスキ炭酸ソーダ>
重曹で落とすことができない頑固なヤニ汚れには、セスキ炭酸ソーダがおすすめです。セスキ炭酸ソーダとは、炭酸ナトリウムと重曹の複塩で、脂肪酸やたんぱく質の汚れを効果的に除去します。重曹と同じように、水に溶かして霧吹きで吹きかけます。重曹よりもアルカリ性が強いため、ヤニ汚れがこびりついた部分に使うと良いでしょう。

<漂白系洗剤>
白い壁紙に黄色いヤニ汚れが目立つ場合は、漂白系の洗剤を使用してみましょう。ただし、白以外の壁紙や柄があるクロスに漂白系の洗剤を使うと、変色や色ムラができることがあるので注意が必要です。目立たない場所で変色しないかどうか試してから全体に使用しましょう。水で薄めた漂白系洗剤をヤニ汚れが目立つところに吹きかけます。
漂白系洗剤を使うときは、十分換気をしながら掃除を行いましょう。また、掃除が終わったあともしばらく換気を行い、部屋の空気を入れ替えるようにしてください。

ほかにも、ヤニに効く成分が強い「ヤニ取り」に特化したいろいろな洗剤が販売されています。自宅の壁紙に合った洗剤を購入しても良いでしょう。

ヤニを落とす壁掃除の手順

壁紙のヤニを完全に落とすことは難しいですが、蓄積する前にこまめに掃除することで、黄ばみを薄くできます。しつこいヤニ汚れを落とすための手順をご紹介します。

1) 洗剤や重曹水などを壁のヤニ汚れに直接吹きつける
ヤニ落としの前に、掃除機やハタキで壁紙についたホコリを取ります。壁紙のホコリをはらったら、ヤニを落としたい部分に洗剤や重曹水などを直接吹きつけます。

2) スポンジやブラシで軽くこする
洗剤や重曹水などを吹きつけた箇所をスポンジやブラシで優しくこすって汚れを落とします。力を入れてこすると壁紙が傷んだり、色ムラになったりすることがあるので、壁紙の状態を見ながら軽くこするようにしましょう。
また、壁紙から浮いたヤニ汚れは、液だれして筋状に染み込んでしまうことがあります。汚れが浮いたら、すぐに拭き取りましょう。汚れを落としているスポンジやブラシが汚れてきたら、こまめに水で洗ってから使うようにしてください。汚れたスポンジもまま作業を進めると、せっかく落としたヤニを壁紙に戻してしまうことになります。

3) 水拭きをして洗剤とヤニを拭き取る
仕上げは、水拭きをして洗剤とヤニを拭き取ります。水拭きで汚れを取ったあと、乾いた雑巾で余分な水分を拭き取りましょう。水分や洗剤が壁紙の表面に残っていると、シミや変色の原因になるため、しっかりと拭き取ることが大切です。

ヤニを落とす壁掃除のポイントは、洗剤を狭い範囲に吹きつけることです。少しずつ汚れを落としては拭き取る作業を繰り返しましょう。

ヤニ落としをするときの注意点

ヤニ汚れを落とす際は壁紙を傷つけないように、注意しながら掃除を進めましょう。

●洗剤は試し拭きをする
洗浄力の強い洗剤は、汚れを落とすのに効果がありますが、成分が強すぎるとクロスを変色させてしまうことがあります。洗剤を壁に吹きつける前に、必ず目立たない部分で試し、壁紙に変化がないことを確認してから使いましょう。

●壁紙のつなぎ目は避ける
壁紙は、クロスを複数枚つなぎ合わせて張られています。クロスのつなぎ目に、洗剤を吹きつけてしまうと水分が染み込み、壁紙が剥がれる原因になります。ヤニ落としに取りかかる前に、壁紙のつなぎ目の位置をチェックしましょう。
また、雑巾で拭き取るときは、つなぎ目と平行方向になるよう、上下に拭くとクロスがよれにくくなります。

●強くこすりすぎない
壁紙は力を入れて強くこすると、傷ついたり破れたりすることがあります。ヤニ落としは、円を描くように軽くこするのがポイントです。特に、洗浄力の高い洗剤やメラミンスポンジは、強くこすることで拭きムラができやすいので、こすりすぎに注意してください。

壁紙が汚れる前にこまめな掃除を


壁紙をきれいに保つためには、ヤニ汚れが蓄積しないよう、こまめに壁を掃除することが大切です。壁に付着したまま長期間放置されたヤニ汚れは、時間の経過とともに固まってしまうため、完全に落とすことはできません。壁紙にタールが染み込んでいるため、無理やり落とそうとするとムラができ、さらにヤニ汚れが目立ってしまいます。
壁紙のしつこいヤニ汚れは無理に自分で落とそうとせず、信頼できる業者に依頼することをおすすめします。